耐震構造計算書偽造問題

 2005年11月、耐震偽装問題が発覚しました。新宿区内にも西早稲田3丁目にあるワンルームマンションが姉歯元建築士によって偽装されていたことが判明しました。(現在は解体工事中)

 なぜ偽装が見逃されたのか。1998年の建築基準法が改悪されたことにそもそもの原因があります。「官から民へ」の構造改革の一環で、これまで自治体がおこなってきた建築確認・完了検査を、民間機関もできるようにしました。その結果、今では検査件数の半分以上は民間です。新宿区では、検査件数の71%が民間で、そのなかで今回問題となったイーホームズが30%を占めています(2004年度)。

建築基準法改悪をすすめた自民・公明・民主
 建築基準法の改悪に賛成したのが、自民党、公明党、民主党などで、その責任は重大です。
 日本共産党は、この建築基準法改悪について、民間検査機関はゼネコンや大手住宅メーカーの集合体でも可能で、公正・中立性が確保できない、営利本位になって検査が手抜きになると国会で追及して、反対しました。
 何でも「官から民へ」と、安全まで丸投げして民間にまかせればうまくいくという考え方が、今回のように人の命をも脅かすような事態を生んでしまったのです。

新宿区議会は国に対し意見書を提出

 2005年の耐震偽装事件発覚直後に開かれた新宿区議会第4回定例会で、日本共産党新宿区議団は急きょ代表質問で取り上げました。議会運営委員会の理事会では沢田あゆみ(議会運営委員会副委員長)が、「構造計算書偽造問題に対する適切な対応と再発防止を求める意見書」を提案し、全会派一致で採択され、国土交通大臣などに送付しました。
 さらに、2006年の第1回定例会でもこの問題で、もう一歩踏み込んで建築確認事務を以前のように自治体の責任において行うか、民間検査機関に対する自治体の指導・監督を法的に明確にするなど、法改正を求める内容の「耐震構造偽装問題の再発防止を求める意見書」を国に提出しました。

 新宿区の2006年度予算案について、区議会各会派への説明がおこなわれました。予算案には、区民のみなさんの切実な願い、日本共産党がみなさんと力をあわせて要求してきた施策が、新たに計上されたり拡充されました。主なものを紹介します。

安全・安心

木造住宅の耐震補強工事助成

 1981年以前建築の木造住宅が対象。▼高危険度地区と非課税世帯は工事費の3/4以内で300万円まで、▼高齢者・障害者世帯は工事費の1/2以内で200万円まで、▼それ以外は工事費の1/4以内で100万円まで助成。所得制限があります。

耐震増改築融資斡旋と利子補給


 融資限度額1000万円、利子補給2%。住宅金融公庫対象物件にも使えます。

非木造住宅の診断費助成

 延べ床1000㎡かつ5階建て以上の非木造住宅が対象。耐震診断と構造診断の2種類で、助成限度額はいずれも1世帯5万円。

ブロック塀除去工事助成


 助成限度額は、20万円。

構造計算業務体制の強化


 構造計算建築士2名を新たに区に配置し(委託または派遣)、建築確認などをおこないます。また、建物の構造計算書をもって行けば、無料でチェックをおこなう予定。

安全・安心建築なんでも相談会

 建替・防災等の相談(月1回)に加え、構造等の相談会を開催(年6回)。

区の避難所等の耐震補強工事
 小中学校、幼稚園、保育園、児童館、中央図書館、区立住宅などの耐震補強工事が進みます。

構造計算書偽造問題に対する適切な対応と再発防止を求める意見書

 「検査機関が偽造を見逃していたことは責任重大」だとして、国と都に対し、「建築基準法の改正を含めた」取り組み、「徹底的な原因究明と厳正な処分を含む対応を行い、検査体制の見直しと充実強化を求めるとともに、被害住民に対する相談・支援体制の創設や生活支援対策など積極的な取り組みを強く求める」意見書です。