学校選択制は、地域コミュニティーを壊す!……江東区で見直し。前橋市は全廃。

 江東区は、学校選択制を導入して6年が経ちますが、地域との関係の希薄化や学校間の人数の格差が拡大し、様々な問題が生じてきたため、小学校は区内全域から選択可能だったものを、来年度の新入生からは原則徒歩で通える範囲と改定することになりました。

 私の調べたところでは、江東区では教育委員会が自発的に学校選択制の見直しをしたわけではなく、きっかけは監査委員からの意見でした。
 2007(平成19)年度の定期監査の中で、学校関係の監査報告書に監査委員の意見として「学校選択制については、発足時から特定校への集中(あるいは忌避)が懸念されていたが、…その心配が現実のものとなっている」「基本的には児童・生徒はその地域にある学校に通学することが望ましく、併せて、均衡の取れた学級編成による教育環境の整備が必要であると思われる…」と指摘されました。

 これを受けて、教育委員会の「学校選択制度検討会」で検討されたなかで、学校長の代表からも「地域との関係の希薄化」等の意見が出され、結論として、制度は継続するが、小学校については全域から選択可能であったものを原則として徒歩で通える範囲に限定するという見直しがされました。

 前橋市も、導入から5年ですが、地域との関係の希薄化を理由に、小中学校とも選択制を廃止します。

 新宿区の教育委員会も、議会で私たちが追及すると、学校選択制に「功罪あることは確か」と”罪”の部分も認めています。”罪”は何かとただすと、地域との関係が希薄になることや、大規模校と小規模校の差が拡大していることが地域などから指摘されていることを認めているにもかかわらず、学校選択制の見直しについては一顧だにしないという態度です。

 これまでに区民サイドから出された正式な意見として、「区民会議の提言書」や「外部評価委員会の意見」、直近では「牛込地区学校適正配置に関する懇談会意見書」と、3度にわたって学校選択制の弊害が指摘され、検証や見直しが求められているにもかかわらず、まったく聞き入れようとしない教育委員会の体質そのものが問われる事態となっています。