最近読んでおもしろかったのは、「教育格差の真実」と「勝間和代の日本を変えよう」という本です。

「教育格差の真実」は、教育評論家で法政大学教授、早稲田大学大学院客員教授の尾木直樹さんと、経済アナリストで獨協大学教授の森永卓郎さんの対談本で、”「偽装学力」が国を滅ぼす”なんていう帯が付いていて、教育行政に多少なりとも関わっている者としてはとても目を引くタイトルです。

尾木直樹さんは以前、講演にいらした時に個人的にもお話ししたことがあり、海城高校の先生をされていたということで、新宿区にも縁のある先生です。森永卓郎さんは、個人的には存じ上げませんが、我が家のご近所、戸山高校のご出身で、新宿区民だったということで、何となく知らない人とは思えないような感じがしています。

お二方とも最近マスコミでご活躍で、その主張には大変共感するものがあります。折しも今、新宿区の教育委員会は、「新宿区教育ビジョン」という教育分野の10年計画を初めて策定しようとしている時で、私は文教委員ですから、有識者が教育問題でどのようなことを言っているのか勉強する必要があります。特に、国の方針(もっと言えば財界の方針)で、”国際競争力”などという言葉が教育分野の計画に出てくるようになって、では、”国際競争力”に詳しい経済の専門家はどう言っているんだろうと、興味深く読みました。

もう1冊の「勝間和代の日本を変えよう」は、これまたマスコミでご活躍の若手女性経済評論家の勝間さんということで、書店ですぐ目にとまりました。勝間さんはこの間、子育てや教育の問題で発言されているのですが、外資系の会社を渡り歩いた超エリートのシングルマザーがどんなことを書かれているのかとても興味があったので、見た瞬間買いました。

この本の中には漫画家の西原理恵子さんとの対談が”最強ワーキングマザー対談”として掲載されていたり、作家の雨宮処凛さんとは”脱・ワーキングプア対談”と、今話題の方たちとの対談もおもしろくて、「そうそう!」とか「そうなんだよ!」とか、強く共感しながら読みました。

どの方も共通しておっしゃっていたのは、これだけ格差と貧困がひろがると、今の社会は貧困の再生産、つまり親の経済力によって受けられる教育に差が出て、貧困層はなかなかそこからぬけられない。だから、今こそ公教育がとても重要で、もっと教育や子育て支援に税金を使うべきだということでした。

新宿区の教育現場もあらゆる”格差”が課題になっています。そこを直視して、その上で公教育の役割を果たすような教育行政になるよう、私もがんばりたいと思います。