新宿区は、2004(平成16)年度の新入生から学校選択制を導入し、小学校は隣接校から、中学校は区内全域から学校を選べるようになりました。同時に、1995(平成7)年度の第1次から現在進行中の第7次(西戸山中と西戸山2中)まで学校適正配置=統廃合を進めています。

学校選択制が導入される前から、新宿区では指定校変更制度で比較的柔軟な対応をしてきたために、学校間の児童・生徒数にアンバランスが生じていましたが、教育委員会が認める理由が必要だった指定校変更制度より理由を問われない学校選択制になってから、ますます児童・生徒数に「格差」(地域住民はこのような言葉で表現されています)が生じています。

そのような中で、今年度はついに、西戸山第2中学校に入学を希望する生徒がゼロになりました。通学区域内には1年生になる子どもが95人も居るのに、です。西戸山2中は今年度、2年生と3年生だけの2クラスしかない学校になってしまいました。過去に品川区で新入生ゼロの学校が出たことがありましたが、新宿区では初めての事態です。

統廃合されるのは2011年度ですから、統廃合を前にもしかしたら学校そのものが消滅してしまうかも知れません。そうなると、対等な統合をするということで校名も新たに「新宿西戸山中学校」という新校になることに合意をしてきた西戸山中の関係者からも、「この統合は一体何だったんだ。」という声が聞こえています。

これまでも、区立小学校の校長会から区教育委員会への再三の要望として、「学校選択制と適正配置に対する将来構想を明確に示していただくように」と言われていましたが、きっと今回のような事態になることをおそれて校長会がこのような要望を出されていたのではないかと思います。

区教育委員会は、これまでは新1年生の保護者を対象としたアンケートのみを根拠として、学校選択制は歓迎されているからこのまま続けるんだと言い張って一歩も譲らなかったのが、今度の区議会第1回定例会では、地域も含めた幅広い意見を聴く検証の方法を検討するという姿勢に変わりました。しかし、町会長をはじめ地域の方々からも言われているように、このような状況になる前に、もっと早く検証し、対策を講じるべきだったのではないでしょうか。