アカデミー賞を受賞した「おくりびと」をDVDで観ました。
映画館でやっている時になかなか観る時間がなくて、ずっと気になっていたのですが、後援会長がDVDを持っていて、とても良い作品だから観たらと貸してくれたので、家族で観ました。

噂通り素晴らしい作品でした。
私は、身近な家族としては21歳の時に父が亡くなり、一番最近では義理の父が亡くなりましたが、どちらの時も納棺のシーンで私は居なかったので、「おくりびと」を観ながら、父たちはどのように納棺されたのだろうかと想像しました。

父が亡くなった時は急死だったので、私が東京から福岡県の実家に帰った時には既にお棺に入っていました。一日経過していたので、父の髭が伸びたように見えて、弟が涙を流しながら髭を剃っていたのが、映画では主人公がお父さんの遺体の髭を剃るシーンと重なって想い出されました。

義理の父は血液のガンだったので、亡くなる直前は毎日のように通っていましたが、納棺の時は私は仕事だったので見届けることはできませんでしたが、夫と子どもたちは立ち合って、手甲脚絆を着けるなどして旅支度の手伝いをしたようです。
田舎ですからお寺の住職が納棺にも来られるのですが、葬儀の時に、今の子どもたちは身内であっても遺体を怖がったり気味悪がったりする事が多いのに、旅支度をちゃんと手伝っておじいちゃんを見送って偉かったねと、子どもたちにも言葉をかけてくださいました。

私は、区議会議員になってから何度か葬儀委員長や、葬儀の仕切りを務めさせていただいたことがあり、納棺に立ち合うこともありましたが、その時ご家族は、故人が好きだった物をお棺に入れたりして、どうしたら故人が喜んでくれるか最期に精一杯考えるのです。

映画では、そうした家族の気持ちや故人が生きて来た軌跡にも思いを寄せながら仕事をする主人公の姿に共感し、感動しました。

確かに地味な映画ですが、良い作品は外国の人が観てもわかるものなんですね。これからも日本映画界が単に売れる映画ではなく、良い作品を創り続けてくれたらと思います。