6月10日から6月19日までの日程で議会が始まりました。

沢田あゆみは6月11日の本会議で一般質問に立ち、教育委員会に質問しました。
質問と答弁の詳しい内容は以下をご覧下さい。
(沢田あゆみの一般質問)
 日本共産党区議団の沢田あゆみです。私は、就学援助と奨学金制度の充実について一般質問いたします。
 百年に一度と言われる世界同時不況の波は、子育て中の世帯にも押し寄せ、特に昨年の後半から経済状況が急激に悪化していることは、学校現場にも現れているのではないでしょうか。今年4月に文教委員会が行った視察でも、ある中学校では、「就学援助の申請率が昨年度と比べて今年度は5%近く増えて驚いている。昨年度末に区の奨学金の2次募集があった時も複数の希望者があった。」と、校長先生からリアルな実態が報告されました。
 このような状況下で、区としてもこれまで以上に教育に係る経済的支援を強めていく必要があるのではないでしょうか。


 最初の質問は、就学援助についてです。
 区立小中学校における就学援助の認定率は、ここ何年もの間、22%台後半から23%台前半で、都心区では最も高い数字を示しており、特に中学校は2008年度29.7%と、約3割が就学援助を受けています。そして今年度は、まだ認定作業中ですが、年度当初の申請率が中学校で31.2%と、ついに3割を超え、小中合わせた全体では23.9%と、更に増加の傾向を示しています。就学援助は、区立学校に限らず、国立や私立の小中学校に通う区民も対象ですが、国立・私立の認定者数も2006年度から2008年度まで、9名、14名、17名と、これも増加しています。新宿区では、年度替わりの時にいっせいに就学援助の申請書を区立小中学校で配布するとともに、年度の途中でも、保護者の失業や病気など、家庭状況の変化で経済的に困窮した場合は申請を受け付けていますが、このような、年度途中の認定も昨年度は8名ありました。

 質問の第1は、就学援助の法外援助、アルバム代の引き上げについてです。
 アルバム代の保護者負担は学校の規模によっても違いますが、昨年の決算特別委員会の答弁で「9,000円程度から2万円を超えるような実態」と言われたように、昨年度最も卒業生の人数が多かった学校でも1万円をわずかに切るような金額でした。これに対し、新宿区の就学援助では小中学校とも卒業アルバム代は一律6,600円です。私どもが行った調査では、23区で実費または新宿区よりも高い金額で支給しているのが10区となっています。新宿区でも実費を支給すべきと考えますがいかがでしょうか。

 質問の第2は、修学旅行費等の支給方法の改善です。
 修学旅行参加費や移動教室参加費については実費が支給されていますが、実施後に支給されるため、一旦は自分でお金を用意しなくてはなりません。学校では分割で徴収したり、様々な工夫はされているものの、中学校の修学旅行ともなると約6万円と金額も大きく、しかも生活保護受給世帯にとっては毎月ぎりぎりの生活費の中で、しかも母子加算も削減されるなど厳しい中で、後から支給されるとは言え費用を捻出することは大変なことです。実際に、生活保護を受けているお母さんから「後からしかお金が入ってこないから大変。」という話を聞き、学校の先生方からも「何とかしてもらえたらありがたい。」と言われました。
 千代田区では、基本的には保護者が積み立てをすることにはなっていますが、移動教室の費用を7月に概算で支給し年度末に精算するという方法をとっているそうです。このような概算払いの方法などで支給方法を工夫することはできると思います。これまでも、給食費については教育委員会から学校に直接支払う方法に改善されてきましたが、修学旅行参加費等についても支給方法の改善ができないものでしょうか。お答え下さい。

質問の第3は、就学援助に関する周知方法の改善です。
 私に寄せられた相談の中で、子どもを抱え生活困窮に陥ったご家庭に時々見られるのが、給食費などを滞納しているのに就学援助の申請をしていないケースです。年度途中でも申請ができることを知らない方や、国立・私立に通っている場合も対象になることを知らない方が少なくありません。学校の現場においても、給食費の滞納などが見られる場合には、ご家庭に対して適切に就学援助を勧めていただくこととあわせて、区の広報でも年1回だけでなく学期の変わり目などの節目に、年度途中でも周知を図るべきと考えますがいかがでしょうか。お答え下さい。


 次の質問は、奨学金制度の更なる改善についてです。
 昨年の第4回定例会で、私ども日本共産党区議団の代表質問でも制度の充実・改善を求めてきたところです。それを受けて、「新宿区奨学資金」については、これまで11月上旬から12月上旬までの1回しか募集が行われていなかったものを、今回初めて年度末に2次募集が行われました。今までの1次募集のみだったら奨学金を受けられなかった子どもを、2次募集で救うことができたということについては、教育委員会が改善に踏み切っていただいたことに感謝したいと思います。私ども区議団の質問と答弁内容が報告された教育委員会の場でも、雇用状況の悪化などから奨学金の需要が増えてくる可能性があることや、周知徹底の方法が充分なのかということが指摘されたように、この制度の充実が今後ますます重要になると思います。

 質問の第1は、募集枠の拡大です。
 今回は、1次募集の応募者数が12名で定員に満たなかったために、初めて2次募集を行ったもので、これに対し9名の応募がありました。ところが、予算の範囲で制限があったため、採用されたのは3名のみで、あとの6名は残念ながら区の奨学金を受けることができませんでした。この3名だけでも救うことができて良かったと思う一方で、漏れてしまった6名の方については、せっかく応募されたのに要望に応えられず残念に思います。
 現在のような景気動向が続く限り、今後も奨学金の需要が増えることは必至です。来年度に向けては予算を充実し、募集枠を拡大すべきと考えますがいかがでしょうか。

 質問の第2は、貸付額の引き上げです。
 区の奨学金制度は、東京都の育英資金とほぼ同じ内容で実施されてきましたが、東京都育英資金は都条例の改訂が行われ、2009年度の1年生から私立高校の貸し付け月額が30,000円から35,000円に、2001年度以来据え置かれてきたものが久々に引き上げられました。都立高校の授業料も値上げされましたが、私立高校は年額平均416,958円で、月にすると34,746円。初年度納付金の平均が866,179円という実態を見たときに、貸し付け月額の3万円は授業料にも満たない金額で、実態に見合っていないというのが改訂の理由です。
 区の奨学金は、私立高校の貸し付け月額が30,000円のまま据え置かれていますが、これも都制度並みに引き上げるべきと考えますがいかがでしょうか。

 質問の第3は、連帯保証人の要件についてです。
 昨年の第4回定例会の代表質問で、連帯保証人の立て方について改善を求めたところ、「今後は、より利用しやすい制度とすべく、連帯保証人の条件についても検討したいと考えております。」との答弁をいただいておりましたが、具体的にどのような検討をされたのか、その検討の結果いつからどのような改善を行うのかお聞かせ下さい。



(教育委員会の答弁)
 卒業アルバム代を実費で支給すべきとのお尋ねです。
 新宿区では修学旅行参加費や校外活動費、遠足費等の教育活動に関する費目の多くについて実費による支給をしております。
 しかしながら、卒業アルバムについては、各校の卒業アルバムに係る経費にかなりの幅があるため、実費による支給の実施は考えておりません。

 次に、修学旅行参加費等の支給方法の改善ついてのお尋ねです。
 現在の支給時期は、移動教室については、実施月の翌月末、修学旅行については実施月の翌々月末に保護者口座に振り込みをしております。
 修学旅行参加費については、ほとんどの中学校が、第2学年から費用を分割して積み立てていく方法をとっておりますが、就学援助においては、修学旅行を実施する第3学年で支給しています。
 支給方法の変更については、就学援助の当初認定が毎年5月末になることから、修学旅行等を5月あるいは6月初旬に実施する学校は、困難と考えます。
 それ以降に実施する学校については、転出者・欠席者の把握や、返納手続き等の課題はありますが、今後検討してまいります。

 就学援助の周知に関するお尋ねです。
 就学援助制度については、年間を通じてホームページでお知らせするとともに、2月下旬から3月上旬の広報掲載、区立学校の全児童・生徒への申請書等の配布など、周知に努めております。また、学校においても、機会あるごとに、就学援助制度の周知をお願いしているところです。
 今後、年度途中の広報掲載についても検討し、周知の一層の充実に努めてまいります。

 次に、奨学金制度のお尋ねについてお答えします。
 まず、奨学資金の募集枠を拡大すべきとのお尋ねです。
 奨学資金の申し込み状況については、平成17年度から生活保護世帯に対する高等学校等就学費の支給制度が出来たことにより、平成18年度以降は募集枠を超える申し込みはありません。21年度生募集においては経済雇用状況を勘案し、予算の範囲内で二次募集を行ったところです。今後も、予算の範囲内で必要に応じて追加募集を検討していきます。
 二点目の貸付額の引き上げについてですが、区の奨学資金の貸付額は、これまでも月額授業料の実態や東京都育英資金の貸付額との均衡等を考慮しながら改定を行ってきたところです。ご指摘の私立高校生に対する貸付額は、平成15年度に現行の貸付額に改定しておりますが、東京都育英資金の改定も踏まえ、今後、検討を進めたいと考えております。
 三点目の連帯保証人の要件ですが、奨学生の募集案内において、現行は連帯保証人を両親以外の方を立てることとしております。今後は、申請続きの際に両親以外の連帯保証人を立てることが難しい場合には、相談対応につながるよう募集案内で周知していきます。以上で答弁を終わります。