65歳以上の高齢者区民67000人分の名簿を警察署に提供する問題について、区は、5月31日の個人情報保護審議会に提案して差し戻され、6月28日の同審議会では内容を修正して提案し多数決で強行承認し、さらに7月17日の区議会には審議会に説明した内容を更に修正して報告をしました。まさに二転三転、支離滅裂です。

しかし、議会への報告を聞いて良くわかったことは、警察署に個人情報を提供することありきで終始一貫していることです。「警察署に個人情報を提供されるのは嫌」という人には申し出てもらえば名簿から外すと言いますが、最初の提案では「嫌な人は言ってください。」ということを区の広報に載せるだけと言っていたのが、二回目の提案では「嫌な人はいってください。」という通知書を警察署にポスティングしてもらう、つまりその時点で個人情報を警察署に提供するというものでした。そして3回目は、ポスティングを警察署に委託するのはやめて郵送に変更。

「嫌な人はいってください。名簿から外します。」というのはオプトアウト方式と言って、本人がきちんと申し出ない限り個人情報は警察署に行ってしまいます。そうではなくて「私はそれを希望します。」という人を募るのはオプトイン方式と言います。オプトイン方式でやれば良いものを、それは全く検討すらしていないというのです。

個人情報保護条例では、区の所有する個人情報を外部に提供する場合、
(1) 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
(2) 法令等に定めがあるとき。
(3) 人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。
(4) 前3号に掲げるもののほか、審議会の意見を聴いて、実施機関が特に必要があると認めたとき。
と限定しており、今回は(4)だというのです。しかも「決定するのは実施者である区です。」などと議会で強弁しているのを聞くにつれ、恐ろしいことだなぁと思いました。審議会でどんなに反対の意見が出ても、どんなに区民から抗議の声が上がっても強行するという姿勢は民主主義とは相容れないと思うのですが⁉