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緊急事態宣言が発出される事が確実な中、新宿区の吉住区長が成人式(新宿区では「はたちのつどい」)について「絶対にうちはやります。」「新宿区の感染者の…10代は5%程度。ということは19歳から20歳になる人たちはほぼいない。そういう意味では非常にリスク低い。」と発言した事が報道され、ネットで炎上していました。1月5日には、区議会議員に「来賓の招待中止」の通知が来ていました。

日本共産党新宿地区委員会の事務所や区議会議員にも、新成人の親御さんから「子どもは行きたいだろうが、不安だ。」という電話や、地域の方々からも「今はやるべきではない。」というメール等が寄せられました。もちろん、「成人式をやってあげたい。」という意見も。聞くと、区役所の担当課には「なぜ緊急事態宣言が出されているこの時期に強行するのか。」という電話やメールが殺到したそうで、職員のみなさんも本当に大変だったようです。

新成人を祝ってあげたいという気持ちはみんな同じで、成人式も何とかして実現したい。しかし、今やるべきなのかは良く検討しなければなりません。東京都ではじめて二千人の大台を大きく超え、衝撃たが広がり、区内の感染状況はこの時12月20日までのデータしか公表されていませんでしたが、PCR検査センターの陽性率が21.9%と非常に高い。この事だけを見ても11日の実施は見送って、日を改めるべきと私たち区議団は判断しました。

「はたちのつどい」延期の申し入れをしたいと、区長室に申し出たその日に国や都が「成人式は延期またはオンライン開催へ協力依頼」したとの報道がありました。私たち区議団は翌8日の朝、区長に申し入れ書を提出しました。内容は以下の通りです。


新宿区長 吉住健一 殿

みんなで祝える成人式にするため「はたちのつどい」延期を求める申し入れ

2021年1月8日    
日本共産党新宿区議会議員団

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、再び緊急事態宣言が発出される事態に至り、東京都の陽性確認数が昨日は2447人と、感染爆発とも言うべき状況に衝撃が広がっています。新宿区の新規感染確認数も直近1週間で357人と急増し、累計4801人(1月6日時点)であり、事業所などでの感染状況も加味すれば、都内の自治体の中でも最も厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 各地の成人式が中止や延期を余儀なくされ、23区でも15区が会場開催での中止を決定した段階においても、新宿区長が「絶対に」開催する方針を示したことがマスコミにも大きく取り上げられました。新成人やそのご家族から「開催して欲しい。」という声がある一方で、区の担当課には「なぜ緊急事態宣言下のこの時期に感染者数の多い新宿区が開催をするのか。」などのメールや電話が殺到したように、感染拡大防止の観点から心配する声が新成人のご家族も含め、私たちのもとにも寄せられています。
 区長が、開催を可能とする根拠として「新宿の場合、感染者の76%が20代から40代で、10代は5%程度。19歳から20歳になる人たちはほぼいない。そういう意味では非常にリスク低い」と語ったことが報道されましたが、同じ行政検査での10代と20代の感染者の割合は42%です。そもそも感染者の割合のみを根拠にするのではなく、市中感染が拡大している今あらゆる指標を見て判断すべきです。新宿区は「はたちのつどい」を開催するにあたり、その可否について検討したとしていますが、延期については検討しておらず、区のアドバイザーである国立感染症研究所の砂川富正先生に意見を求めることもしていないと聞いています。他の専門家の方からはこの時期に成人式を開催することには批判的な見解も示されており、科学的な知見なしに開催ありきで進めてきたとすれば問題です。
 昨日、緊急事態宣言の発出を受けて東京都は成人式については延期またはオンライン開催とするよう協力を依頼すると発表しました。新成人を心から祝いたいというのは区民共通の思いであり、「はたちのつどい」を実施することは新成人とご家族、関係者の願いです。当事者である新成人が素直に喜べる成人式にしなくてはなりません。このような時期に開催することは取りやめ、みんなで祝える成人式にするため、「はたちのつどい」は安心して出来る時期まで延期することを求めます。

以上


そして、新宿区は8日の午後になって一転「中止」の発表をしました。これに先だって区長はSNSで「単なる中止にはしない」と発信していたようですが、新宿区のホームページに掲載された区長のメッセージは以下のようなもので、金屏風のフォトスポットを設けるとか、区長が一日会場で待機して来た人にお詫びとお祝いを申し上げます、と。都知事も「人流を止める」必要性を訴え、苦渋の決断で成人式を延期ではなく中止にしたのに、このウェルカムな雰囲気の発信は何なのかしら?と、感じたのは私だけではないようです。それをやるにしても積極的に発信する事がどのような影響を与えるのか。このような非常時には、首長に様々な難しい判断が迫られる場面が多く大変だと思いますが、専門家の意見も良く聞きながら冷静な判断に努めていただきたいものです。



【区長からのお詫びとメッセージ】

 「令和3年 新宿区「成人の日「はたちのつどい」」の式典を開催する準備を進めてまいりましたが、区内における急速な感染状況の悪化を受けて、式典を中止することとしました。
 新型コロナウイルスの感染状況を注視していましたが、ある程度の水準で踏みとどまっていた新宿区内での1日の新規感染者数が、1月7日には、7月以降初の100人を超える状況となりました。大災害に匹敵する状況と判断し、残念ながら式典の中止とさせていただきました。
 式典に参加することを予定されていた新成人の皆さまとご家族の皆さまには、心からお詫びを申し上げます。感染拡大を防ぐために会食には行かないと決意していた新成人の気持ちと我が子の成長に喜びを感じていた保護者の皆さまの気持ちを裏切る形になってしまったことは、痛恨の極みです。
 当日(1月11日)は、予定していた式典会場(新宿住友ビル「三角広場」)にて、フォトスポット(金屏風)を記念撮影用にご利用いただけます。また、動画も放映し、会場でご覧いただけます。私もお詫びとお祝いを申し上げる為に会場で待機しております。
 成人式を楽しみにしていた新成人の皆さまには多大なるご迷惑をおかけすることになりますが、ご理解いただきますようお願いいたします。


新宿区長 吉住 健一